直子の部屋

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私も地方を去る若い女性だった #クロ現 から

NHKで偶然見たクローズアップ現代の話題。

地方を去る女性たち・・・ なぜ地元に戻らない?女性流出 本音を聞いてみた - クローズアップ現代 取材ノート - NHK みんなでプラス

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「地方創世10年」も「人口減少」も未婚子供なし予定もなしの私には我関せずの話題だと思っていたのだけれど、放送を見て私もそういえば「地方を去る若い女性」のひとりだったと気づいた。30年前の私と令和の若い女性の声があまりにも変わらないことにも驚いた。

私が生まれ育った故郷を出て、首都圏で暮らす理由は、番組の中で女性達の証言とほぼ同じだった。

番組の中で国や自治体が目指してきた地方創世の政策にたいして出た現実にあげられていた

「働きがいのある仕事につきたい」
「結婚や出産に干渉しないで」
「”地域での役割”押し付けないで」

これは、進学の時、就職の時、一度地元へ就職して改めて上京することにした時、度々祖父や母、親類からあれこれ「常識という名の押しつけ」を聞かされ、何度も揉めた。

「女の生き方」「進学先」「結婚する年齢」「子供を産む年齢」を説く母は、「自分も折れて祖父の考えに従ったのは良かったと思っている」「あなたのためを思っていっている」と言っていた。

進学で揉めたので、就職は手を打とうと早々に自分で選んだ都内の会社に内定を取り付けたが、親にバレて状況が拗れ、内定も取り消されて自分で作った道を折ることになった。偶然にとある地元の会社から声がかかって新卒で就職はしたが、その話があるまでは就活などもうする気にもなれず過ごした。

その後は3年ほど真面目に働いて仕事も覚えたが、相変わらずいつ結婚するのかと言われながら自分の仕事とは別に実家の商売の手伝いをした。家庭内は不全なことが多かった。「やはり実家からは離れたい」という気持ちも上京の理由のひとつだった。

進学や就職は親の理想に反発したつもりはなく、素直に自分が学びたい、働きたい場所を目指したはずだ。けれど、周りの大人には相談する前にお説教を受けるので、率直に相談できる人がいないまま上京した。話せる人がいなかったわけではないが、社会人になって初めのうちに身に着けておきたい現実的なお金や生活のことは相談した覚えがない。話せば言い合いになるような家庭環境から脱出するのが目的になってしまったのかもしれない。

いつのころからか、気持ちを削ぐ言葉や言い方に過剰に傷ついたり反応するようになった。もう忘れていたけれど、そのころの会話に相当傷ついていたのだ。

 

番組では「地方創世」の政策と現実のギャップを埋めるためには、国や自治体での政策だけでなく、職場、地域、教育の分野でも取組みが必要だと結んでいた。番組が取り上げたのは国の政策についてだからだろう。

それにあえて私が個人的な意見として取組が必要な場所として加えたいのは、番組でひとつも語られていなかった「家庭」だ。

 

”伝統的な価値観” を” 頭をおさえつけられているもののようにかんじられるのだろう”

番組中、人口戦略会議の増田寛也さんが仰っていたこの言葉で思い出すのはむしろ家庭の中だった。

毎日を暮らす中で家族は最も近く、遠慮などなしに「伝統的な価値観」を浴びせる。職場の前に家庭だった。学校の前にも家庭だった。刷り込まれていき、いまでも苦しむ。

受け入れられない気持ちと、受け入れた方がよいのではないかという気持ちから逃れる方法が「地方を去る」だった。「個人として生きていける」と思えた首都圏へ移ったのが20代前半だった。

実際この流れから、家族を持ちたいと思わなかった。うつになったことで拍車がかかった。メンタルケアをするうちに、祖父から母へ伝わった伝統的な価値観を「押し付ける悪しき慣習」を自分の代でやめたいと強く思った。当時は若く、その理由から自分の子はいらないとまで考え、心から安心して一緒に過ごせる人に出会うまで、結婚をして自分の家族を持つことは一切考えられなかった。

賃金格差は結婚や子供と無関係に「気持ちが削がれる」その上役割を求められるのも地方に限らない。接待も昔に比べたら楽になったが、中年になっても先輩世代は酒を注げと当然のように口にする。家に帰って旦那になった人がそんな調子でいたらと思うとどこへ行っても気を使う。認知症になった祖母を思い出す。

目にしてきた身近な夫婦の影響も大きい。知らない形もあるだろうに、私には無理だと思ってしまったのだろう。

 

「私も地方を去る若い女性だった」という共感はあったものの、このテーマに我関せずと思ってしまうのは、非婚単身はほどんど枠の外で、結婚を望まない人の理由とこの政策が恐らく繋げて考える人がいないのだろうということだ。

私が該当するということもあるけれど、夫婦や家族を形成して、暮らしている地域に関わったり、地域や地方の活性化に意識が持てない、または薄れている人も、それなりに理由があるはずなのだ。

これから増加すると言われている非婚、単身高齢世帯になりかけている私にとっては、地方を去った若い女性だった人達の行く末の方が気になる。

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