直子の部屋

笑ったり泣いたり踊ったり暴れたり推し事したり。

落語小僧の大須地図 席亭志願再々 補完

先日は「兼好集」という落語会へ行ってきました。

以前紹介した本「席亭志願」に登場されているKさん主催の会です。

 

entsunagi705.hatenablog.com

 

コロナのソーシャルディスタンス型で始めた会は
助演も入って兼好師匠も3席という贅沢さなのに
はじめた頃のままゆったり落語を聴く会になって

席に余裕があるままなのが
残念なような、このままが良いような
不思議な雰囲気の会になって続いています。

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次回の兼好集は4月30日夜、内幸町ホールにて

 

今年の夏にKさん主催の
「文生噺」という会が気になって一度伺いました。
桂文生師匠がご出演になるのですが
落語とは別にKさんが文生師匠に話を聞くというのです。

 

足を運んだのは初回だったらしく
文生師匠が話す昭和の楽屋裏話は
落語を長く追っているわけではない私には
初耳だらけの知らない世界で
話についていくのがやっと。

面白いと思えたのは前半ぐらいで
気後れもして度肝を抜かれて
次も伺おうとはすぐに思えませんでした。

今思えばKさんの会らしい企画。
他ではやらないから足を向けるのですから。

 

仲入りの間に兼好集の次回チケットを買いました。
Kさんの話をまた聞きたいんですよ!とスタッフSさんに告げたところ
突然とあるプログラムを見せてくれました。

 

「このあいだはすごかったんですよ・・・」

 

Sさんが話し始めるやいなや、
Kさんがやって来てそのプログラムにある地図の説明をはじめました。

なにそれ!どういうこと!?
面白い話でもっと伺いたいところが、時間切れ。
ベルが鳴り慌てて席に戻りました。

 

仲入り明けは「文七元結
年の瀬を感じる泣き笑いの人情噺が聴けて
満足して帰宅しました。

 

仲入りのロビーで聞いたことを思い返すと
どうやら数日前に何度目かの「文生噺」があって
Kさんの独断場もあったということらしい。

 

「ここが僕の家で、ここがゴールデン街ね・・・」

 

その地図は大須演芸場とその周辺でした。
私が生まれる前の年が書いてあったような。

 

2月にある次の「文生噺」を確認すると

 

文生噺
~楽屋裏話・落語・席亭の裏話~

 

ちょっと空けた間に
文生師匠の落語と落語裏話、
さらに席亭Kさんの裏話と
裏に裏を返す裏話二本立てになっていました。

 

Kさんの話をまた聞きたいんですよ!と言ったら

「このあいだはすごかったんですよ・・・」

「3年2組のKくんから始まって・・・」

 

席亭の裏話で名古屋・大須の話をしたら
お客さんが喜んでくれた、ということだったのか!

 

Kさんで「大須の話」といえば
思い浮かぶ本があったので
帰宅して久しぶりに手に取ってみました。

以前紹介した「席亭志願」の続々編で
Kさんが出身の名古屋で見てきた
東西の舞台演芸と芸人俳優録
「落語小僧ものがたり 席亭志願再々」です。

落語小僧ものがたり: 席亭志願再々

彩流社「落語小僧ものがたり 席亭志願再々」

 

冒頭から書かれた昭和の大須
Kさんが芸の世界にハマってしまった
マセの真田小僧を地で行くような幼少時代

 

さっき見た大須の地図は
その幼少時代の地図でした。


本の挿絵に入れてほしかったぐらいに詳細で
K少年が過ごした大須がそのまま描かれていました。

 

「ここが僕の家で、ここがゴールデン街ね・・・」

 

説明するKさんの楽しげな声がリフレイン。

よほど大きい経験だったのが伝わってきて
笑いがこみあげてきました。

やっぱり面白い方です。

 

ご存知の方はご存じの通り
Kさんはただの主催者というにはもったいないキャラクターをお持ちです。

落語家になりたかったがあきらめたというだけある
前に出なくても目を引く人です。

 

存在をよく知らなかった頃には
お客さんが話しかけているあの人はどういう人なのだろう?
と思っていましたが
いまではどんな会を企画されているのか
定期的に確認してしまう方になりました。



毎日やっているから「定席」と名乗っていた寄席が
コロナのような感染症
規制で芝居を中止にする時代になりました。

都内は定席寄席そのものも片手の数となり
落語会をしている劇場が
立て直しや改修で次々閉じていて
会を主催する人の種類も変わってきているように思います。

 

変革の時代という意味では
落語を楽しめる会場や方法が多彩になって
寄席もこれまでの形を打ち破って盛り上がりも見えますが

ホール落語という劇場で開催する形式ができて
定席ではない場所、劇場を借りて
落語会を開くお仕事を確立され続ける方達の話は
どこかに残して欲しいなあと思います。

地域寄席や個人主催も同様ではありますが
恐らく楽しめる人の規模を大きくした部分では
劇場を使う形を演者と興行をする人達で
作ってきたのではないかと思うからです。

 

もうコロナ禍でしていた対応も
記憶が薄くなってきましたが

あの時期にここをどう乗り越えようかと
考えて工夫して対応されていた主催者の方々

苦しい状況の中で新たなチャレンジをされて
続けるためにどうしたらいいのか
様々考えていらっしゃることも意識しました。

もちろんご商売だからされているのですが
苦労話も今なら笑える話も今の心境の変化も
聞いてみたい人がいます。

正体不明の「席亭志願」著者さんの気持ち
今はすごくわかります。

なかでももっと話を聞いてみたい筆頭がKさんです。

 

幼少期まで本にできる人は
他にあまりいないとは思いますが
「席亭志願」とKさんをきっかけに意識したところに
コロナ禍が入って更に
携わる人達を見るようになりました。

 

地図をきっかけに開いた本は
手に入れた当時は手ごわい一冊で
「席亭志願」への思い入れと少し違う印象を持っていましたが

改めて開くといま響く言葉を見つけることもできて
落語から繋がっている人への関心を改めて確認できました。

 

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兼好師匠の人情噺を聴ける機会はまだ少しレアです

 

とはいえKさんへの興味と
推しの師匠への関心はまるで違うもの。

「落語」で繋がっているから
という理由しか浮かばないのですが

どこかうれしかったり
どこかじんわり楽しくなるので
好きなことは強みです。

 

落語が関係なかったら
こんなにおじさんを追うことはまずないですからね。

 

落語にハマる前に行ったきりの大須にも
一度出かけてみたいものです。

 

 

Kさん主催のミックス寄席 オフィスエムズさんの落語会

人気の師匠方も並びますが
静かにすごい会が潜んでいますので
ぜひチェックしてみてください。

 

ミックス寄席|オフィスエムズ

www.mixyose.jp