直子の部屋

笑ったり泣いたり踊ったり暴れたり推し事したり。

今だから立川談志師匠を もっと聴きたい もっと見たい

もう10日経ってしまってましたが
11月21日に放送されたラジオ番組
文化放送
立川談志 13回忌 そして伝説へ』を聴きました。

 

ゲスト出演は太田光さんと林家木久翁師匠
木久扇師匠は
若手時代の談志師匠とのエピソードが
初めて聞けて貴重でした。

「談志師匠は江戸っ子」

落語を聴くようになって
太田さんが話すから今こそ納得できるけれど

テレビでしか談志師匠を知らなかった頃は
省略されている言葉が多くて
インパクトばかり残って

葛藤してピュアでシャイなところは
伝わってこなくて
よくわからない印象でした。

談志師匠のことは
出掛けた落語会で
たくさんの演者さんが高座で語って真似して
高座映像がたくさん残されていて
ようやく人となりや魅力を知った気がします。

命日にラップアルバム発売も
ふざけているけど
それしか知らない人ではなくなったので
談志師匠の言葉もらしさがわかって
放送されなかった曲もちょっと聞いてみたくなりました。

「金ぇ〜」/ 談志2 REVOLUTION

「金ぇ〜」/ 談志2 REVOLUTION

 

私が好きな談志師匠の面白さはやはり高座。

落語が面白くて笑う、というよりも
人の本質をずっと口から出しているところが
クセになる面白さ。

マクラや落語中に入る注釈は
他の演者さんに慣れていると最初は驚きました。

でもよく聞くと
何か見たり聞いたりした時の
反応とか感情とか連想される知識とか

私もよく頭の中で起こっていることを
しゃべっているんです。

私なら表に出さずやりすごすことも
談志師匠は口に出して流さない

感情や湧き上がるものをスルーせずに
客前に出している。

止められないで
自分と折り合いついていなさそうなのが
談志師匠のらしく
またひとつの魅力です。

今でいう多動力が備わってた人なのかもしれません。

 

国立演芸場のひとり会での
かぼちゃ屋、豆屋、孝行糖』は傑作!

落語に出てくる「与太郎さん」のことは
言い得ていてとても共感します。

かぼちゃ屋と豆屋と孝行糖は
別々の落語として聴いても面白い噺ですが

一気に3つの噺を聞くと
同じ与太郎さんが続けていろんな商売していって
成長?していると思うと
これまたすごく面白い!

「孝行糖」でピークとばかりに
ドーン!と太鼓を打ち鳴らして
見栄を切るように大仰なポーズをとる
絶妙な間合いや囃子が
たまらなく可笑しくて何回見ても笑ってしまいます。

 

まさかのたっぷり動画がYouTubeで見れるので
これはぜひ見てほしい!
【国立演芸場 談志ひとり会 ラスト・デイズ23
『かぼちゃ屋、豆屋、孝行糖』1999/10/12】 - YouTube

youtu.be 

 

今談志師匠が現役で高座に上がっていたら
追いかけただろうか?と思うと

推しと呼んで追いかける人ではない(笑)

それは今の感想であって
全盛期に落語にハマっている人間だったら
違ったのかもしれませんが
間近にいて緊張感を語る人達の話を聞くほど
今ぐらいが良い距離のお付き合いだと思います。

 

イリュージョンだとか業の肯定とか
インパクトがあって
それだけでは意味が良くわからない談志ワードが

残されている映像や音源で見ることで
高座で言っていることを
良い意味で冷静に
俯瞰で聞き取れる気がするのです。

 

高座を見ていると
日常の中で苛立ったり
疑問に思うこと
落語の世界と現実の日常を行き来して
感じていることを
談志師匠が代弁してくれるように感じます。

落語家さんが代弁してくれるのは
落語の魅力でもありますが
談志師匠は漏れ出過ぎていて師匠らしい。

 

ご自身が落語の世界で生きていて
テレビが台頭してパソコンが登場する時代のスピードを
どう扱ったらいいのか格闘していて

それはSNSだとか配信だとか
伝えたいことが自分でない誰かに要約されて
意味は変わらないかもしれないけれど
自分の表現ではない言葉で出されて

受け取る方に寄り添わないスピードで
人の言葉というよりも
「情報」で見て聞いて読んで学習させる

そんな今にも重なります。

 

高座の上で次々言葉を口にしながらも
ついてこれていなさそうなお客さんを見つけると

「わかるかな?」って
声をかけてらっしゃるのが
談志師匠のらしい優しさで
好きな高座風景のひとつです。

 

ともすると今なら
病気だの障害だのハラスメントだの犯罪だので線引きして

厄介事は他人事にして
躾でも子供でも
大きな声でわめくな叫ぶなとなるようなことを

文楽なら志ん生なら四代目の小さんならこうだと
気性や人柄が違う人たちの芸で
声色や言い回しや様子が違うことを見せてくれる

落語だなあと思います。

 

文楽なら志ん生なら四代目の小さんならこうだと
思いつく芸人を演ってみせるほど覚えて
またその数がとんでもないところ。

芸に芸人のめり込んで
それぞれの良さを吸収してやろうと
その上で俺はどうするんだと格闘する様子
良い意味の陰気使いで芸人を感じます。

 

近しい人が見た談志
ご自身が思う談志
私が見ている談志師匠

それぞれ別で別でない談志師匠で
見聞きして描くことで
今でも立体的になる程 顔がある方。

13回忌だろうと
生ではもう聴けない人だろうと
今から初めて聴いても
楽しませてくれます。

 

もしすぐにわからなかったら
それは年月を待つとわかるかもしれない。
人生経験で聞えてくる談志が変わる。
談志師匠の落語は
そういう江戸っ子の芸に感じます。

 

 

日劇場で一緒に働いた仲間の集まりに顔を出しました。
思い出話にも花が咲きました。
もしかしたら先輩の中には
談志ひとり会を生で見た人がいたのかも。
聞けたらよかったな。

気が付いたら12月。
この数年国立劇場国立演芸場のカレンダーを使っていたのですが
来年はどうすればいいのか。
一之輔師匠が加わった笑点カレンダー?
一回くらい鬼籍の方々で国立演芸場カレンダー作ってくれないかな。

 

本日のおまけ

YouTubeには竹書房さんの落語関連チャンネルが複数あります。
いずれも太っ腹な映像なのでオススメいたします。

立川談志チャンネルは名言集や蔵出し映像の他、メンバーシップ限定の映像もあります。

竹書房落語チャンネルは推しの兼好師匠や柳家花緑師匠、亡くなられた円楽師匠の貴重な高座も見ることができます。

そうだ、芸談集も読まなきゃ。

立川談志 芸談集

立川談志 芸談集(竹書房)