直子の部屋

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三遊亭兼好・著『お二階へご案内〜虎の巻 再考!』読んでみた

東京かわら版新書 第7弾
『お二階へご案内〜 虎の巻 再考! 事実は小説より "悲" なり』

演芸好きにはお馴染みの東京かわら版にて
毎月連載されている三遊亭兼好師匠のエッセイ本第2弾。

kawaraban.theshop.jp

 

前回は、エッセイの中でネタにされ続けたおかみさんの猛反対を受けたらしい噂から新書化を知った。無事発売されると「娘のジャージ姿で公園の遊具で戯れる師匠」「割烹着姿で家事をこなす師匠」がイラスト付きエッセイに挟まれていく構成で度肝を抜かれ、更に芸歴20周年記念落語会で作られたジャージ姿でラジオ体操する師匠パネルで楽し気な記念写真がたくさん出回った。

その後師匠は、落語会のコントやチラシで「着物じゃない」「でも靴ではない」姿にさせたい人達に時々『きせかえ兼好』として楽しまれ、客のこちらもニヤニヤ楽しんだ。この数年で「普段着物で客前では洋服」という、他で見ない珍しい芸人スタイルになられた気がする。

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今回の第2弾出版が芸歴25周年。
たった5年だけれど演芸会の様子は結構変わった気がする。なにより自分が5年まるごと落語会や寄席に関心があって連載も読んでいたので、続編の中身にあまり新鮮味を感じないかもしれないと思った。

早々に買って、気が向くのを待って読んでみると、まったく心配無用だった。

 

一度読んでいるはずの文章なのに楽しい。

月イチ1エピとまとめ読みの違い?

当時を思い出すから?娘さん達が大人になったから?

書籍サイズ?文字サイズ?本の手触り?

文章なのに兼好師匠の高座を思い出す。

マクラで聴くように読めるからかも、と読みながら新鮮味が何か探ってしまうほど。

 

この第2弾では文豪姿や執事姿の兼好師匠が挟まる。

ジャージ姿は有名になってしまったから?

第一弾を出版した当時のエッセイ。読者の長女さんの感想に、今回ジャージを断念させたと思われる決定打があった。きっとこれだ、ということにすると楽しい。

今回は執事姿の師匠が出迎える冒頭ページ裏に、「主な登場人物」として前回の書籍化を反対していたはずのおかみさんと二人の娘さんの相関関係が漫画の様に描かれている。建前なしのサザエさん、あるいは第二のちびまる子ちゃんを狙っているとしか思えない。次はまるごと漫画になるのか?アニメ化を狙っていくのか?グッズで稼ぐ家族になったりして。バカバカしい想像も楽しい。


連載は連載として、毎月届く程よい普通郵便リミットサイズの東京かわら版で読む楽しさがある。新書は文章もイラストも師匠らしい視点と軽さが一度の読めて、この本でしか見れないお姿も拝める。真打昇進インタビューや連載100回記念の記事も収められていいるし、イラストも大きく別の心地良さが嬉しい。

もしかして新書が読みやすいのは5年で目の見え方に歳が出て、大きい文字で助かってるだけかもしれない。第三弾も買わずにはいられないだろう…