直子の部屋

笑ったり泣いたり踊ったり暴れたり推し事したり。

マナーは悩ましい

最近落語が面白くなくなる話を書きましたが、
暑さと湿気のシーズンだからなのか、苛立つ話を他からも耳にします。

 

「そのパターンもあるよね!」

 

の共感が多いことよ。

 

そんな中、今日は演者さんからのアプローチを2つ目にしました。

落語協会さんのマナー動画と、とある実演者さんのブログ

マナー動画は楽しく知ってもらえるよう工夫されていて、落語が好きな方なら出演者も楽しめるものになっています。

反対にブログの方は、控えめに、けれど現実を伝えられています。
芸人さんに仕事を出す人の感覚とギャラの話。
内容的には私も耳にしたことある。若手を応援する体で非常識なことを言ったり、昔から応援しているからと無理を言うなんて噂も聞きます。

端的な感想に書いた通り、相手の状況がわからないのは落語でなくても同じ。

若手の落語家さんがどう仕事を回しているのか知らないし、サラリーマンで自分のギャラ交渉もしたことない、落語会やイベント開いて人の縁で仕事したことない人にとってはわからないのもある意味当たり前なのかもしれません。

でも、落語家さんだからといって落語会の仕切りがすべてわかっているとは限らないとも思うんですよね。それを考えさせないで良いように工夫されている興行主さんもいると思いますが、それはプロ同士の気遣いの世界。

演者と主催と客と、それぞれが相手の苦労を知らないと思っていた方が、わからないなりに気遣える気がする。

 

落語が好きで落語会を始める人は多いと思いますが、人気商売は商売。落語家さんが見せてくれる親しみやすさで勘違いする人もいるでしょうし、違う勘違いをする人もいるのではないかと思います。失礼を承知でいえば、芸を軽いものと見る。無意識に芸人さんを「見下す」人もいるかもしれない。

高座では愛想良く朗らかに話す。年齢も若く、収入は不安定な商売で、自分から見たらまだまだ未熟。修行の場を与えてやろう。みたいな了見?

自分がやったこともない、聞いているだけでは影の苦労がわからない芸でも、そんな風に他人を評価してる。客はそんなもんです。無防備に思いついた言葉を口にする人は多い。そんな言葉は真面目に受け取め過ぎず、躱すことも大事。

 

これは落語や芸に限らないと思います。他のご商売でも。個人の方ならよりリアル。ギャラ渋る人とは仕事しないか、先を考えて受けるか、どっちかしかない。朗らか平和な対応をしてつなぐか、きっぱり断るか、気まずいけど本音を伝えて交渉するか。どっちにしろ書くほど簡単ではないですけどね。

 

そういえば、最終回の「だが、情熱はある」でも同じようなモヤモヤを感じました。
若林さんが芸人でない友達に稼ぎを聞かれるシーン。

自分にとってポッと出
自分にとって楽(簡単)に稼いでそう
自分には遊んでいるように見える
自分から見て相手が下

そんな目線で口から出る言葉。

 

落語協会さんの客席のマナー動画は、自分も出会ったことがある不快なマナー違反が思い浮かぶから、ちょっと笑える。この動画を楽しめる人は見てすぐ気を付けることができる人だと思う。
頭を悩ませるのは、そういうものを見ない人達だろうと穿った目で見てしまう。

 

マナーのことが悩ましいのは、伝えたい相手に伝えるのが難しいこと。

実際起こった時に真っ先に本人が気づけば大したことはない。

隣の人がちょっと声かけられれば周りもそれほど傷を負わない。

実際は隣の人がどんな人かわからないから声なんてかけない。

隣が友達でも(友達だから?)声かけない人もいる。

客席で携帯鳴っても実際のところ誰のが鳴ってるか特定する方が難しい。

 

先日書いた録音おじさんの日は、それより前にすぐ後ろの席のおじさんが耳元で突然大向う気取りで叫んで耳が痛かった。コロナ前なら平気だっただろうか?

 

わざわざ注意する人がいないとやっても平気なんだと思う人がいる。

反対に、そんなことでと思うことで訴えると言い出す人もいる。

便利な道具ができてあることないことひろまる窮屈さ。

注意も仕方しだいで批判される。啓発は優しめに、まっとうな主張も控えめになる。

主張が強い人向けの世界になっていく。

反対に受け止め方が過剰にもなっていく。

伝えたい感覚を伝えるのが難しい。

 

マナー違反だと思われている人を完全に取り締まろうとすれば、それも違うだろう。

本当の黒と、鈍感なグレー、だれも助けないグレーもある。

見つけた時には苛立つけど、自分の機嫌(コンディション)も確認しつつ
客席の場合は隣人は異国の人だと思って一緒に楽しむ客としてできることをしたいところ。

ギャラなしで仕事を頼む人がひと月で複数人いるという話には驚く。
理由を聞きたいぐらい謎だ。でもそういうシーズンなのだとしたら、ギャラを決めるか上げる時期なのかもしれない。言い値の世界かもしれないけれど、「〇円はいただきたいです」と言えないと安売りは続く。そういう話は同業で話したりするのだろうか?そのあたりも悩ましいマナーなのかも。

せめて相場を聞いてくれるぐらいの人と仕事した方がよいのでは。
できれば気持ちよく払ってくれる人と仕事したい。これは自分の希望。

 

以前聞いて参考になった話:
三遊亭兼好の落語・いろはの『い』其のニ: なるほど がってん ポッドキャスティング

 

この際、勇気を出して記事にされた露の眞さんにいくらなら来てくれるか問合せるご主催が増えることを願っています。ギャラの件だけ読むのもと思って他の記事も見たらブログだけ見たらどんな落語する人かまるでわからなくて笑ってしまった。悩み方が似てる。

 

落語や噺家さんへの応援の仕方もひとそれぞれ。いまつい目がいってしまう話題。

ここではやいやいと苦言を申し上げつつ、マナー守れない人がいなくなることはないと思う。だから気分を害することがない落語会があったら、完封勝ちした試合並みに喜んで感謝しよう。「誰かの携帯が鳴ったら歌丸師匠が来ている」と思って笑えていたころが懐かしい。