直子の部屋

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8/18 NHK 日本の話芸 選 桂竹丸 落語「ホタルの母」

原爆の日」「終戦の日」が過ぎました。

毎年不調な時期で、それは戦争や原爆の情報が多く目に入るからと思う一方で、特集番組を見ない年はあまりありません。

今年は広島でいのちの塔と呼ばれた赤十字病院、地上戦になり集団自決が起こったサイパン島や隣のテニアン島のこと、特攻も神風ではなく人間魚雷 回天のことや風船爆弾のこと、世界史から見た世界大戦の流れなど、第二次世界大戦で日本が招いた恐ろしい戦争を時系列で知ることになりました。朝ドラを見れる環境も大きかった気がします。

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忘れるな忘れるなと言われながら、原爆の被害と玉音放送の印象だけが強い第二次世界大戦。わざわざ戦争なんて現代でするわけがないと思っていたけれど、知れば知る程常軌を逸していることがわかる出来事。始めたら終われない危険性。人の心理に働く中毒性、感覚麻痺、洗脳、判断異常性。情報を冷静に捉えられず、国のために戦うことが正しいと刷り込み、直感的に間違っていると感じても一人では止められない。終戦後に振り返っても死んだ人たちは戻らない。経験者が語りたがらず、未経験の自分が知りたいとも思えなかった理由がよくわかる。今起こっている戦争が止まらない理由もわかる気がしてしまう。

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アメリカ軍が日本本土に空襲をもたらす拠点となったサイパン島、原爆の爆撃機基地となったテニアン島。その島々がアメリカ軍に渡る前から計画されていた特攻。テニアン島で暮らした人達は数少ない兵士に手榴弾で自決するよう言われ、自決できない幼い子供を手にかけるよう命じられたと証言する。若い特攻を指揮した人達は戦後も当時の上層部で誰の発言によって特攻が推し進められたのか探り続けたそうだ。

そんな特集番組を大量に見た後に桂竹丸師匠の「ホタルの母」を見た。

実はテーマ性の高い創作落語は苦手だ。戦争ならなおさら。それが講演会のテーマならなんの違和感もなく真面目に聴けるのに。落語で聴くことが苦手。聴いてみれば素晴らしかった、ということも多いのだけれど、苦手だ。昔は友人の舞台で特攻の話を見ることもあったが、家族が他界した頃から見ていられなくなった。

竹丸師匠の軽快な調子、やや戦争とかけ離れた寄席感が強いマクラから高座は始まる。まだコロナ禍だった客席らしい。場所は知覧。食堂のトメさんと陸軍訓練生の会話が始まる。特攻隊員を見守る役になるとはどういうことか、トメさんが知るのは少し後だ。

描かれる景色は80年前のことになった。最近になって自分の親世代が終戦後のベビーブーム世代で、その子供の私たちが第二次ベビーブーム世代と呼ばれていたことを知る。小学生時代、つまり40年ほど前は学校の図書館で借りて「はだしのゲン」とか「対馬丸」を読んでいたし、ジブリのアニメで見た「火垂るの墓」は昭和の終わり、35年以上前になってしまったらしい。「ほたる」は源平合戦だけでなく、戦争に結びつくイメージがあるけれど、靖国と同じように今の若者世代にはそんなものはないのかもしれない。

80代を過ぎた世代も多くお元気でいらっしゃる時代ではあるけれど、本格的に知らない世代に移り変わってきた。今年見た特集番組も、何割かは過去の証言映像だった。

自分自身が年齢を重ねてきた分、過去の証言、新たな資料、まとめられた映像に加えて体験を形にした物語で当時の肌感覚を感じることがある。「ホタルの母」もトメさんを通して特攻でお国のためと出撃する人達を送り出す気持ちのやりきれなさを感じる。

もしかしたら、そういう経験に共感しやすい、し過ぎてしまう人には向かない噺かもしれない。共感し過ぎるのが怖いから、避けているのかもしれない。

ホタルがやってきて光ってみせると、約束を思い出すトメさん。戦争を想って作られた落語、忘れてはならないという想いを理解しようと努めながら、戦争だからできた縁ではなく、命を掛ける人との縁、命の大切さを想う時間を残す物語として、しっかり最後まで聴けたと思いたい。

それでもやっぱり、このあとしばらく落語聴かない数日になったりして。

笑う時間を持ちたく落語を聴く身にとっては、落語の真面目成分の取扱いがまだ上手くいかない。落語の楽しみ方はそれぞれで。

 

日本の話芸 選 桂竹丸 落語「ホタルの母」 - NHKプラス
https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2024081812184

8/18(日) 午後2:00-午後2:30 放送
配信期限 :8/25(日) 午後2:29 まで

桂竹丸さんの落語「ホタルの母」をお送りします(令和2年10月23日(金)霞が関イイノホールで収録したものの再放送)【あらすじ】竹丸さんのふるさと、鹿児島を舞台にした新作落語第二次世界大戦中、鹿児島県の知覧(ちらん)には陸軍の飛行場があり、近くで鳥浜トメが営む食堂は、陸軍指定となって多くの若い訓練兵たちの面倒を見ていた。やがて戦況は悪化し、若い兵士たちは特攻隊員として出撃していくようになる…

 

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