直子の部屋

笑ったり泣いたり踊ったり暴れたり推し事したり。

7/10 芸歴二十五周年 桂まん我ひとり会special @内幸町ホール

最近に珍しく、2日連続で落語に行ってきました。
ブログに続けて落語に行った話を書くなんてもっと珍しいですが、昨日に続いて書き留める練習です。

桂まん我さん、お初です。いきなりお祝いの会。
最初に言ってしまいますが楽しかったです。

 

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落語会へ行く前の前段。

昨日もそうでしたが、今日もどこか落ち着きが無く気が立っていたので、会場近くのサザコーヒーさんでお茶しておちついてから行きました。

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以前徳川慶喜公を調べていた時に知った「将軍珈琲」、アイスコーヒーは金の徳利&猪口で提供されるユーモア。酸味が少し強め。すっきりゆっくりして出発。

さほどの距離もないのに会場手前で兼好師匠に遭遇。
お電話中だったので会釈すると気づいて「後でね~」と楽しげな笑顔で対応くださいました。噺家さんの客との距離感は人それぞれかと思いますが、推しの推したる理由です。電話も良い話だったのかも。整いました。いざ内幸町ホールへ。

 

長い行列の後ろに並んで入場しましたが、良い感じに2列目に着席。お祝い会で初めて高座を見る噺家さんの会の開演を待ちます。

トントン早い調子のお囃子で幕が開き、本日の主役登場。
これまで各地で開いてきたひとり会のいつもの会場で25周年のスペシャル会としてゲストを呼んできたそう。そのひとり会を初めてしたのは実は暮らしている大阪ではなく東京、お江戸日本橋亭。本当はそこでやりたかったけれど建て替え休館中ということで内幸町ホールになったのだとか。

内幸町ホールも思い出深い場所で、二ツ目時代の兼好師匠と二人会をしたことがあったり、栃木在住「昭和元禄落語心中」の雲田はるこさんにどうしても出てもらいたく、スカイプを使ってスクリーン越しに出演してもらったこともあったなんて話も。その縁で手ぬぐいのデザインになっているまん我さんのイラストも描いてもらったと聞いてまんまと帰りに1本ご祝儀代わりに購入。

桂二葉さんは落語会をしていたお蕎麦屋さんでアルバイトをしていた縁で入門前から知っていたそう。

今日がまん我さんの会初めて人!に挙手多数。「いままでなにしてたんや!」のツッコミに和む。この言葉に和むニュアンスがまん我さんらしさだと後の高座で気づきました。

次に二葉さん。わっと人気が出るとその人を避けて落語に行くようになるのが私の癖で、今回も高座を聴ける貴重な機会なんだけれど、そこはいまや大の人気者。おそらくファンであろう隣組のオーバーリアクションに少し懸念を抱く。個人の意見です。

アルバイト先のお蕎麦屋さんが頼んでいないのにまん我さんに入門前相談をしたらと話を繋いでくださった、と二葉さん。自分から相談したかったわけじゃないというもの言い、お祝いの主役を持ち上げない話し振りが二葉さんらしい。二葉さんは十三年目だけど芸歴は隠したいとあの声で味噌豆丁稚。味噌豆は東京では前座噺でよく聴くけれど、ゆっくり丁寧な噺の運びで二葉さんカラーがよく出た高座だった。

まん我さん出てきて二葉さんの言葉に感想。不穏で微妙なやりとりに聴こえるのは東に暮らしているからかもしれない。相談を受けた後輩が別の師匠に入門しても、その後輩がどんと有名になっても、これまでのつきあいがどうにかなることはなさそうな関係が見える。

まん我さんを初めて聴く高座は「七度狐」。米朝師匠の音源で何度も聴いてる好きな噺。「バサバサ」の仕草とか「べちょたれ雑炊」で腹の中に壁が出来るとか金貸しの婆さん幽霊に踊らされる伊勢音頭とかハメモノも入って生で聴けて素直に楽しい。

四代目桂文我が紡ぎだす"古くて新しい"世界観 「上方落語史の語り部」が歩んできた軌跡 | 噺の話5000文字 | 東洋経済オンライン

まん我さんも二葉さんも米朝事務所だという言葉に米朝のご一門?と頭にはてなが。まん我さんの師匠のお名前が文我師匠と文の字が付くので違うルーツだと思っていた。帰って確認すると米朝一門で、勘違いした理由もわかった。その上、文我師匠は明治期の古書籍や寄席の記録を蒐集していて、昔から落語や芸能史の発掘に熱心だったそうで趣味が合いそうな師匠だ。いつかの東京かわら版で見た本にも興味を持つ。まん我さんの雰囲気に米朝師匠で聴いた一言一句が再現されてる高座に上方落語力を感じる。

着替えて二席目は「宇治の柴舟」。出だしが「崇徳院」とか「千両みかん」に似ている話だけれど、恋煩いの相手が違う。この噺も誰のものか覚えていないけれどいつか音源で聴いたことがあった。生で聴くのは初めて。その名の通り宇治で舟が出てくる。上方言葉と水を表すハメモノ、恋煩いの相手が他の噺よりミステリアスな色気があって、若旦那の行動力が違って面白い。芝居がかる場面でまん我さんの見栄が楽しい。

ああ楽しいなと仲入りに入ると隣組のお一人が帰る算段を始めていた。途中で帰ることには文句はないが、お目当てを見る為に2列目ど真ん中を確保してあからさまにお目当てを褒めてもういいや的な話を大声でするのは個人的には迷惑。といっても食って掛かることでもなく、あちらも気にしない人だろうし、お金は払っているのだし、隣で言動が終始気になっていた位なので派手にバチバチと手を叩いて受ける人が退いてくれるなら落ち着くかもしれない。気が立っている日は他人が気になり過ぎるのでそんな頭の整理をする。自分の部屋でのぼやきです。

ついでに個人的偏見ぼやきを書いてしまうと、人気者に集まってくる人に苦手な人がよくいるのです。「わっと人気が出るとその人を避けて落語に行くようになる」のはそのため。お祭りが苦手なのと似た理由かもしれない。

人気者にはいろんなお客さんがつくので、中には当人が予想だにしないタイプの人がぞっこん追いかけてきたりする。その中でお祝いの落語会に人気の落語家さんが出た時に、目当ての出番が終わると祝いの主役を置いて帰る族を何度となく見て、無礼だなあと思うのです。

その演者さんに悪気なんてないとはわかっているのだけれど、個人的にその演者さんの高座が楽しめなくなったり、厳しい目でみてしまったり、ファンの振る舞いにいらついたりしやすくなってしまう。

自分が楽しめていればマナーがどうとかはいいのですが、いかんせん気になる人間なので「楽しい<つまらない」で帰りたくない。
やんごとない理由で会場を出る人もいると思うので、わざわざ大声であれこれ言わずにすっと帰ってくれたらと思うけれど、そこは楽しんでいるわけでそうもいかない。脳内で答えのない対策会議が続きます。体力をつけよう。

そうしているうちに兼好師匠登場。ルーティンの自己紹介から一言二言でわっと笑わせてくれて安心。答えのない会議を吹き飛ばしてくれました。

「のめる」は前の日に末広亭で師匠の前に出た小痴楽師匠がやっていた。続けて落語を聴きにいくとこういうことは時々あって、兼好師匠が入れているくすぐりは面白いけど師匠ならではもあって、小痴楽師匠がこれやったら違うな、とか知らず同じ噺でそれぞれのフラがチラッと見えるのが楽しい。大根百本のくだりで100人おばさん送られてくる言いまつがいに爆笑。畳み掛けてくる笑いのトスが師匠らしい。今回もお楽しみの網を張ってくれていて喜ぶ。

兼好師匠の後に出てくるとまん我さんの語り口ははんなりに聞こえる。「応挙の幽霊」は上方の形で、兼好師匠のものとは違ってかなり酒癖が悪くて可笑しい。違うのに最初の筋が似ていたり、都々逸の文句が重なったりするのもどうくるのか読めなくて面白い。ほぼ同期というお二人でまた二人会もやって欲しいと思う高座でした。

最後にご挨拶があり、手締めを大阪締めで。
大阪の納涼歌舞伎で見たことはあったけれどやるのは初めて。慣れない客席の緊張感をまん我さんが和ませてくださって手締めが決まってお開き。

7月は行きたい会が多い中直前まで悩んでる会のひとつでしたが、行って正解。
はしょりたくなく長くなるのは書ける内が華ということで。
南光師匠御夫婦のエピソードも面白かったなあ。そしてお子さんへのぼやきが誰かに似てる・・・と思ったマクラ、ナオユキさんだ。思い出した。

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