直子の部屋

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別世界の人が客席で携帯電話を鳴らす(2)

前の記事で携帯が鳴る話を書いたら
今日は「鳴らなかった」という言葉が目に入る。

そんなもん、ですね。

気にせずにつづきです。

 

entsunagi705.hatenablog.com

 

落語を聞いている最中に携帯電話が鳴る。
これほど不快なことはないというのに
近頃はまったく携帯が鳴らなくなった、
という時代はまだ来てくれません。

 

苛立つ人達の言葉は届いているのに
なぜ鳴ってしまうのか。

そう嘆いたところで
残念ながら今後も鳴り続けると思っています。

 

そしてその都度
苛立ちをその場では声にもできず
状況に耐えて
なんとか落語に耳を戻そうと意識して

早く鳴らしている本人が気づいて
止めてくれることを祈るしかありません。

 

考えただけでもしんどい。

 

 

ではなぜ
いなくならないと思うのか。

 

それは

 

鳴らした人が
私のように気にする人なら

とっくに学習して鳴らさないようにするはず

 

だからです。

 

つまり
鳴らす人は
学習能力がないわけではなく

 

鳴ってしまうことが平気な人

周りに嫌がられても気にならない
恥ずかしくもない

注意されてたとしても
その場限りで流せる人

 

だということです。

 

いってみれば別世界の住人。

 


同じ落語を楽しむ仲間、といっても
落語に来る理由は同じなわけではありません。

 

もしかしたら
落語に興味があるわけでもないかもしれません。

 

これは落語会に限ったことではありませんが
チケットさえ持っていれば
客席に座る特別な理由なんていらないのです。

笑える楽しい場所ですし
特に熱心である必要はありません。

失礼ながら
家で退屈しているよりいいし
熱心に聴く人がいることも
そんなにわからない人もいるでしょう。

 

知らない他人と一緒に過ごしている意識もなく
家にいるような人を見かけることもあります。

悪気はないのです。
周りが嫌がることに鈍感なだけ。

 

気にするこっちは


「高齢になって耳が遠い方なのかな?」

「マナーモードで本人が気づいていないのかな?」

「知らないフリしてるんじゃないだろうな!」

 

なんて鳴った途端に頭を駆け巡りますが
きっと全部不正解です。

 

元から気にしていない人は
そもそも注意喚起の工夫は全て流していることでしょう

 

開演前のアナウンスなんて聞いてない

家族に注意されても聞かない

友達同士でも確認したりしない

電源の切り方?
よくわからないしそのまま

鳴ったら鳴ったで仕方ないだろ

 

そんな感じでしょう。

 

周りに迷惑をかけないよう
気を付けている人にとってこの上なく苛立つ人ですが

世話をする義理もなく
排除することもできませんし
何かしてあげても損した気分になることは
周りもわかってる

そんな人を想像してしまいます。

 

それでも気が済まなくて

演者さんにとっても不快なら
なにか罰を与えてはどうか?
と考えてみました。

 

現実的ではないですが
廊下に立たされる方式で

いい大人を
「はい、鳴りましたね!」と

 

「その場に立たせる」のはどうだろう?

 

と思いつきましたが

仮に上に書いたような別世界人だったなら

立たせたところで
その後も気をつけようと思わないでしょう。

もしかしたら
むしろ注目されることに嬉しくなって
更に鳴らして目立ちたいと思う可能性さえある。

 

ボツ。

 

鳥山明を漫画で読んだ世代)

 

 

 

話は飛びますが
昔うつになって
それを迷って打ち明けた人の中で
一番「話すんじゃなかった」という人を思い出しました。

 

自分が元気な人です。

 

元気が当たり前で
相手も同じ人間だろうと思っている。

性格は誠実でとても真面目でいい方でした。

 

でも多分、精神的な病気に理解はなさそうだと
感覚的に感じていた方でもありました。

 

伝えないままのつもりが
なぜか話すことになってしまい

想像通りとしか言いようがないぐらい
なにひとつ理解してもらえなくて
泣いたことがあります。

 

理解し合えない人ってたくさんいますよね。

 

気に病んでいない人には
この気持ちは伝わらない。
そもそもそんなことで悩まない。

もらった言葉も的外れ

実際相手も戸惑っていました。
なぜ泣くのかわからないのですから
当たり前です。

 

でも
どちらかが悪いわけではない。

 

同じ日本人で
同じ言語を使って
性格も知っていて
一緒に過ごした時間があってさえも
わかりあえない

 

そんなものなんですよね。

 

 

一人で話す芸を
大勢が集まって聴く
聴くためにその大勢が静かにする
だからこそ聴けるもの

 

そう思い込んでいると

同じ客席にいる仲間なのに
裏切られたようで
犯人をつきとめたくなるわけですが

こっちは落語が聴きたくて来てるから

鳴らしている人は
何をしに来ているのだろう

 

という穴にハマってしまいます。

 

 

人情噺を聴く
人の心の機微を聴く
そういう席でも

お互いを気遣う世界

ではない別世界が

同じ場所にあるんだと思います。

 

 

とりあえず私にできることは
自分の席の両隣
できれば前後左右8席で鳴っていたら
速攻ガン見して
場合によっては伝わるアクションで
ご当人に知らせることでしょうか。

 

携帯電話が鳴っても止めないどころか
鳴らし続ける人の感覚はどうしてもわかりませんが

トラブルになるといけないし
何より高座の落語家さんが噺し続けている
気になる方は声を上げたくないんですが

横や後ろの席にいて
明らかに隣や前の人だとわかったら
本人が気づくのを待たないで
教えてあげて欲しいです。

 

なにかその音が聞こえない理由があったとして
他の客全員が携帯電話の音と落語を一緒に聴くのを
何の違和感もなく平気でいるわけがないのですから。

 

もちろん
近くにいてもわからないことも
できないこともあるとは思います。

 

残念ながら
客席に係員がいても

即座に場所を特定して
駆けつけて
止めるようお願いすることは不可能
ということだけは
お伝えしておきたいと思います。

 

慣れていない人を落語会にお誘いする方は
開演前にご指南して差し上げてください。

 

事前に説明できるなら
やっぱり落語協会のマナー動画がわかりやすい。

 

ですが芸人の皆様らしく
洒落っ気たっぷりに作られていますので
落語を聴く間の雰囲気は
真面目な補足も必要なのかなと思います。

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