直子の部屋

笑ったり泣いたり踊ったり暴れたり。

小林清親の浮世絵で見る圓朝が生きた明治時代

 

entsunagi705.hatenablog.com

 

タイトルと繋がりませんが
昨日の続きをつれづれに少し。

川瀬巴水三遊亭圓生師匠との関係は
大田区学芸員さんのコラムに
とてもわかりやすく書かれていたので紹介します。

両者の付き合いがいつ頃から始まったのかは定かではありませんが、大正12(1923)年9月の関東大震災前後には知遇を得ていたと圓生自身によって回顧されており、震災後に圓生が始めた落語勉強会「橘会」の会員にもなっていたようです(三遊亭圓生『浮世に言い忘れたこと』小学館、2017 年)

六代目三遊亭円生の入院見舞い
大田区ホームページ:第9回 川瀬巴水 学芸員コラム
より引用

 

展覧会で知ったエピソードは
「手紙」に基づいてわかったことだと思っていたのは記憶違いだったようです。

『浮世に言い忘れたこと』にも
巴水とのお付き合いの話が出てくるのだそうです。

圓生師匠も本が多くある方なので
じっくり読んだら面白くて長く時間がかかりそうで
なかなか手がつかない方ですが、
読みたいと何度も思った課題図書を一覧にして
一度思い切り読んだ方がよさそうです。

 

浮世に言い忘れたこと (小学館文庫) 浮世に言い忘れたこと (小学館文庫)

 

同じコラムに書かれていた
柳田國男とのエピソードや竹田人形座のことも
同じ展覧会で知ったのを思い出しました。

 

学生時代は日本文化の専攻で
中でも面白いと思ってたくさん見たのが浮世絵
知って興味深かったものは暦や年中行事、
市井の人達の生活に纏わる道具など民俗学にまつわるものでした。

 

ですから柳田國男も名前を良く知る先人です。
川瀬巴水三遊亭圓生柳田國男
興味がある人達が塊で交流しているのですから
好みに決まっているわけですね。

 

昨日紹介した国立国会図書館のNDLイメージバンクには
川瀬巴水の他にも活躍した絵師の作品も数多く掲載されており
シリーズで一覧で見ることができます。

展覧会まで足を運んでも一同に揃えられない点数を
なにはなくとも「まず見る」ことが出来るすごい時代になりました。

 

最近追加された中に
小林清親の『武蔵百景』が追加されていることに気がつきました。

rnavi.ndl.go.jp

時代で話題になる絵師は変わります。

私が学生の頃も北斎や広重はもちろん有名でしたが
大首絵が好きだった歌麿写楽はあまり見なくなりました。
再来年の大河ドラマ蔦屋重三郎が登場して波がやってきそうですが
ここ最近の人気は国芳芳年暁斎
漫画やアニメのように動きや色彩が楽しめる絵師でしょうか。

明治・大正時代に活動した小林清親
学生時代は名前も知りませんでした。

 

清親の『武蔵百景』は
巴水の作風に比べて人の生活の傍に視点が置かれていて
落語に出てくる人達が見た景色により近く感じます。

巴水より先輩で江戸から大正初め頃まで生きた人で
この方も明治の御一新の際には
徳川慶喜公を追って静岡に下り数年を静岡県内で過ごしました。

 

三遊亭圓朝が現役で高座に上がり
口演速記本で全国に名が知れる前夜でしたが
清親は「真景」と入る作品もあり
圓朝の活動時期が重なっていて
落語中興の祖が生きていた時代の景色を
近代の浮世絵らしい色彩で見ることができます。

 

何より『武蔵百景』は
落語に出てくる場所や景色を見つけたり
地図に紐づけたりする遊びで楽しめそう!

 

学生時代にたくさん浮世絵を見た、といっても
描かれる歴史上の人物は名前をなんとなく知っているだけ、
江戸東京の景色も多少知った気になっていただけでした。

浮世絵に描かれていることが面白くても
視点は絵師の個性が出る構図やデザイン性だったり
色彩や版画の技術の面白さが主で
描かれている場所の名物も特徴も知らないし
行事や節句もなんとなくわかる位

授業や展覧会のキャプションで得た知識の中で見ていただけでした

社会人になって地の利が身につき
落語で聴いた町の名や名所
有名な大店や芝居や噺の舞台が
浮世絵に描かれた題と結びつけられると
動いていないはずの絵の浮世が見えてきて
その面白さが変わります。

 

読んでいる小説の中の知らない何かや
聴いている落語の中に知らない何かも

書籍や美術作品のデジタル閲覧が可能になって
想像力を助けてくれる宝さがしが手軽にできるようになりました。

 

大正昭和のモノクロ映像がカラー化されて
志ん生師匠が生々しくて驚いた年

生の落語と記録の落語と噺家を往来する楽しみもできて
書籍で自由研究するだけでなく
景色の宝さがしもできそうです。

 

https://www.dl.ndl.go.jp/api/iiif/2542756/R0000018/992,603,3528,5384/,766/0/default.jpg 
亀戸梅屋敷寄席に近い亀戸天神
NDLイメージバンク|小林清親『武蔵百景』
より「武蔵百景之内 亀戸天満宮

 

王子稲荷に愛宕山
佃島に両国花火
深川、谷中、浅草寺

落語に出てくるお馴染みの場所がたくさん。

 

『武蔵百景』が描かれた明治17-18(1884-85)は
珍芸で四天王と呼ばれた
ステテコの円遊、ヘラヘラ坊萬橘、
釜掘りの談志、ラッパの圓太郎のブームもありましたが
寄席の不況が続き規制も始まり
圓朝の心境も複雑になっている頃。

そういう時代として見てみると
見え方も少し変わりそうです。


もう一つ明治の旅のお供には
東都噺家百傑年表が付いてる
東京かわら版さんの
保田武宏・著
『東都噺家百傑伝 冥土インジャパンの巻』も持っていかなきゃ!

(なぜだか最近東京かわら版さんに肩入れしてますが袖の下はもらってません)

kawaraban.theshop.jp