直子の部屋

笑ったり泣いたり踊ったり暴れたり推し事したり。

大好きになった国立劇場について書いてみた。

今日は国立劇場について書いてみることにしました。
一風変わった内容になるかもしれませんが、気になる方だけ読んでみてください。

前庭から見た国立劇場
ある日から劇場が職場に

恐らく前にも臭わせを書いていましたが、以前国立劇場でお仕事をさせていただいていました。
仕事になったきっかけは、転職活動中に見た求人広告に落語会で何度か行った劇場を見つけたから。あそこで仕事できるんだ!安易。

落語が毎日見れるじゃないか!という邪な気持ちがなかったとは言えませんが、仕事ですからそこまで甘くはないだろうと一応自覚してから入りました。いろんな意味で想像できない経験がありました。まさかコロナ禍の劇場まで経験するとは思わなかった。
ただ落語にハマったのがきっかけで入った場所にしては、わずかな期間ながら、濃くて貴重な経験をさせていただきました。

国立劇場は大劇場と小劇場があり、同じ敷地内にある国立演芸場を合わせると3つの劇場があります。国立劇場は歌舞伎と文楽が中心の劇場です。公演が行われる月はひと月の帯で行われます。演芸場はおおよそ毎月1日から20日まで定席があります。主催公演の他に伝統芸能に関わる団体や個人の公演も行われ、ほぼ毎日どこかの劇場で公演が行われています。
1日であっちとこっちで公演があることも多くあり、仕事として考えるとなかなかめまぐるしく動いている場所です。同じ場所で行われる公演でも、内容も時間も違います。1つの公演が終わると次の準備が始まり、それが毎日毎月続きます。公演本番に関わる人達は、表も裏も毎日公演時間に向け息を合わせて準備をし、トラブルに備え、たくさんのお客様を迎え、送り出し、明日の準備をして終える。オフィスワークをしているサイクルとはずいぶん違う時間感覚と職場環境でした。

国立劇場が好きになったきっかけ

仕事で関わると覚えることは大量にありました。落語の知識が仕事に役立ったのは驚きでしたが、その他の芸能の知識はまったく足りません。伝統芸能をゆっくり味わうには程遠いスタートでしたが、何しろ毎日耳にする音からして邦楽の調べという環境。一緒に働く人たちも演目や出演者についてよく知っている強者ぞろい。国立劇場についてよく知る先輩やベテランに囲まれて、最初は難しくて興味が持てなかったことも、触れるうちにわかるようになり、休日に行く落語がより面白くなることも増えました。

仕事に慣れてくると、敷地内の施設のこともだんだん知るようになりました。
公演が行われている劇場の他に、伝統芸能に関わる資料を収集・保管している施設があること、一般の人も閲覧したり視聴できる資料がたくさんあること、無料で見ることができる企画展も数多く行われていること。実は伝統を担う人たちを育成するという、大切な役割を担っている場所であることも初めて知りました。貴重な資料の中には、学生時代から関心があった浮世絵や民俗学にも深く結びつくものもたくさんもあり、事業を知るほど興味深く宝の山のような場所だと知り、どんどん国立劇場のファンになりました。

初代の国立劇場国立演芸場をたくさんの人に知ってほしい。

そんな半蔵門国立劇場も閉場まであと5か月。立て直して二代目の国立劇場ができるまでの間、この場所では歌舞伎公演も文楽公演も寄席演芸も行われない期間ができます。せっかくすごい場所だと知ってファンになれたのに。

「こういう面白い場所があるんだよ!」「行くなら今のうち!」とたくさんの人に伝えたい。知ってほしい。離れてみて改めてまもなく閉まってしまう寂しさを感じます。
劇場の舞台はもちろんですが、そこで迎えてくれる人たちもがいて公演が成り立っていることを知ってしまった分、滞りなく進み楽しませてくれる劇場に思い入れもできてしまったのだと思います。そんな伝統を継いで行くためにたくさんの方が携わっている国立劇場を、私なりに好きに紹介してみることにしました。

自分が好きだからといって上手く伝えられるものでもなく、
残念ながら文章の構成力もなく、毎度のことで長くなるでしょう。
どの目線で書いとるねん!になると思いますし、マニアックなこともあるでしょう。

それでもとにかく、少しでも興味をもっていただけたら成功ということで進めます。

初代国立劇場を推す理由

半蔵門国立劇場を知ってほしいと思うのは、単純に私が好きな場所だからなのですが、もうひとつの理由は、ここが特別な場所だから。
どう特別かといえば、先ほども書いた通り、敷地の中に3つの劇場が集まっており、歌舞伎・文楽・寄席演芸がひとつところで上演されている場所だということです。伝統芸能に関係する公演がほぼ毎日上演されていて、そこへ行けば多彩な伝統的な芸能を体験できるという劇場は、半蔵門の他に代わる場所がありません。

歌舞伎も文楽も演芸も、場所が変わっても変わりなく楽しめる素晴らしい芸能です。
けれども半蔵門には、伝統芸能のために建てられた国立劇場があり、演芸のために作られた国立演芸場があり、一か所に集まっている。歌舞伎、文楽、演芸それぞれの公演が帯で行われていて、長唄、舞踊、雅楽や筝曲といった邦楽、声明や民俗芸能といった信仰に関連するものまで公演として紹介され見ることができる場所だということは意外と知られていないのではないでしょうか。

伝統芸能は見たことがない、古くて難しそうという人も、普段から落語や講談は聴いているよ、歌舞伎は歌舞伎座で見ているし、という人も、古くて新しい体験をしにぜひこの半蔵門に一度来て欲しい。初代国立劇場ならではの雰囲気を今のうちに体験してほしい。そんな想いでいます。

その場所だから受け取れる空気感は、生の公演、生の高座、ライブを知っている人には伝わるはず。これを読んでくださっている演芸ファン仲間ならわかってくれるはず!
そんな力説することでもないような気もしますが。

人形浄瑠璃文楽)作品が芝居(歌舞伎)になり、噺し(落語)に取り入れられ、噺しからまた芝居が出来るといったことが昔からあったことを知ると、半蔵門ではチラシをながめて演目をたどるだけでも繋がりがチラリと見える面白さがあったりします。
軽いところで「裏でも芝居をやってますが」なんて笑いも、国立演芸場でしか聴けません。

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きっかけはなんでもOK。

ごちゃごちゃ言いましたが、あるうちに行ってみてほしい、その一点で長々書いてます。だから、伝統芸能に今はさほど興味がなくても、ドラマに出てる役者さん目当てでもいいんです。笑点で見た、配信で見た、ラジオで聴いた落語家が出るんだって!でもいいんです。普段なら歌舞伎座、普段なら上野や新宿の寄席がホームさ、という人も1回ぐらい場所を変えてみようかね、でOK。役者のゴシップ記事がきっかけでもいいんです。お金を出したくなければ、外から覗いてみるもよし、無料の企画展に入るもよし。劇場周辺や前庭を散策したり、皇居周辺を眺めながらウォーキングして劇場前の景色のいいベンチでおむすびランチやジュース休憩するのも気持ちが良くておすすめです。季節ごとに色が変わる前庭は穴場スポットです。劇場の校倉造のデザインは、建物としても珍しく見ごたえがあります。

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公演の話をまだしていないのですが・・・

まだ行われている公演の話もしていないうちに、なんだかすごいボリュームになってしまいました。先もまだ長くなりそうです。続きはまた。

 

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国立劇場 | 独立行政法人 日本芸術文化振興会

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