ブログでも時々感想を書きますが、NHKの番組をよく見るようになりました。特にEテレの伝統芸能に関係するものと歴史番組。時間が合うようになって大河ドラマや朝ドラも見る機会が増えてます。
Eテレの伝統芸能番組はこの5~6年でかなり見る機会が増えました。年齢的なこともあるし、落語を聴きに出かけるようになったことも大きいのですが、やはり仕事で劇場にいたことは外せません。
そんな私のイチオシ番組は「芸能きわみ堂」です。
「新・にっぽんの芸能」時代から見ていましたが、伝統芸能の凄さをわかりやすく伝えてくださる高橋秀樹さんと庭木櫻子アナに加えて大久保佳代子さんが加わって親しみやすさ倍増。ムチャ振りのお稽古シリーズや伝統を繋ぐ全国各地へロケに行かれて体験される様子が同世代ということもあって共感します。
伝統なのだから説明せずともわかるだろうという肩苦しさを外して、伝統芸能として知られた芸能だけに留めないのも番組の魅力。触れていくとそれぞれが違う芸能なのにメリーゴーランドのように巡っていると感じるのが日本の伝統芸能。もっといえば、芸能だけでなく芸術や文学や歴史も繋がっているのが日本の文化です。
遊園地もなかった時代に、お芝居のように一日中かけて遊ぶような娯楽になったり、物語や時勢から歴史や信仰、人の心を知る教養や教育にもなった伝統芸能。
能面や雅楽の楽太鼓、金閣寺の鳳凰に金屏風が施されたメリーゴーランドのキービジュアルは今やむしろ古さより一周回った新しい面白さ満載だから「この楽しさ伝われ!」という感じが好きです。
高橋英樹、大久保佳代子がナビゲート 日本の伝統芸能が「わからない」から「おもしろい」に変わる! | ステラnet
【古典芸能番組 新しくなります】
— NHK PR (@NHK_PR) 2023年4月4日
「新・にっぽんの芸能」から「芸能きわみ堂」へ。
MC陣に大久保佳代子さんも加わり、えー簡単に言うと「予習いらず」でお楽しみいただける番組になります。今後ともどうぞごひいきのほど。
7(金)夜9:00 #Eテレ
▼インタビューを読む▼https://t.co/zijh5oSQm5 pic.twitter.com/wUZ8PXsYG9
続いた時間が長い分、伝統と聞いただけで難しくて複雑で「つまらない」「古臭い」を感じる時期もあるけれど、好きで楽しんできた音楽やアニメや映画といった興味があるものにどこか繋がっていることにある日気づいたり。歳を経て、子どもができて経験させたいことを考えた時に初めて興味をもったり。少し時間の余裕を持つ頃に面白さに気づいたり。
そのきっかけにテレビや映像がとっかかりやすいのは周知の通り。素晴らしい舞台映像だけでなく、良さを伝えてくれたり、わかりやすく教えてくださる方いて、自分の知識だけでなく、改めて魅力を再確認できるのも魅力的な番組です。どこか「空気を読む」が習慣に根付いてきたので、説明させるなという世代や人が粋な芸を語ってきた時代が続いたのかもしれません。
配信を二度見たのが先週の「十三回忌 中村勘三郎」の放送。世代的にはテレビでよく見た人ですが、歌舞伎を観劇する環境にはなかったので生の舞台は見ていません。ですが、映像からあれだけエネルギーが伝わるのかという凄い内容でした。
ご当人を観劇する機会はなかったのもの、歌舞伎を上演する劇場で仕事をしていた経験と体感から感じるものも大きかったのかもしれません。勘三郎さんの回だけでなく、芸能きわみ堂で取り上げられる芸能やNHKで放送される上質な伝統芸能映像を扱う番組も同様に、仕事で携わる以前に比べて格段に「もっと見たい」と思うようになりました。
伝統芸能に特化していて、歌舞伎だけでなく幅広い伝統芸能公演が行われていた劇場は、耳から邦楽に馴染んでいく濃厚な環境。例としては特殊過ぎますが、好きな音楽アーティストのライブへ行った後に音源で聴き直すヒット曲のような「生の感触が加わった感動」を伝統芸能に広く感じるようになったのかもしれません。大好きな落語が何倍も面白くなったのも同じ理由に違いありません。
高橋秀樹さんが勘三郎さんが「伝統があるから革新がある」という信念を持たれていたと仰っていました。勘三郎さんが「型にはそれぞれに心があるのをしっかりと覚えておかなければならない」とお父様である十七世 中村勘三郎勘から教わったこととしておっしゃられる映像があり、大久保さんも「型は技術だけじゃないってことですね」とコメントされていました。
これを聞いて得心したのが「型はテンプレートじゃないんだ」ということ。
伝統芸能とは離れますが、ビジネス的な情報に触れると「すぐにできるテンプレをプレゼント」といった謳い文句が広告や説明で出てきて、「苦手でもできるのかな?」とちょっと信じかけては「やっぱり違うじゃん」「自分が悪いからできないのか」とか無駄に悩みやすいのです。他人と比べて焦らせてくる手法にはうんざりしてるのに何度も惑わされる。できれば手放したい慣習です。
型の心を知らないまま、望みに合う型を探してばかりなんだろうなと思うのです。用意された型が人の望みを利用して思いのままに動かしてやろうというものなら、自分に合うわけないですし、その型と心をどうしても自分のものにしたければ稽古を繰り返すまで。型破りはその先なわけです。芸と仕事や生き方は全く違うといえば違うものですが、芸を見せてくださる人達には目の当りにした芸そのものの他に、稽古を重ね続けている人の了見を感じ入る機会をもらえる気がします。
近頃のNHKの伝統芸能や演芸番組は、より関心が持てる関連番組の紹介を入れてくれるのがうれしいところ。興味を持ったものをより詳しく知れる機会は大歓迎。今週の舞踊も良かったし、来週の文楽人形とアルゼンチンタンゴのコラボも気になる。
三代目藤間康詞さんの名披露目、中村鴈治郎さん片岡愛之助さん中村種之助さん尾上右近さんと脇方が豪華過ぎた😳スタジオ収録の舞踊「振袖山姥」も素敵☺️
— 直子 (@Entsunagi705) 2024年11月15日
次回は文楽人形×アルゼンチンタンゴとな!攻めてる!😆
芸能きわみ堂(22)芸の伝承・藤間勘十郎 #nhk #Eテレ
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