直子の部屋

笑ったり泣いたり踊ったり暴れたり推し事したり。

浅草演芸ホール昼席・真打昇進披露興行へ

5月15日に浅草演芸ホールへ行ってきました。

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この日は主任が兼好師匠の両国寄席へ行く予定だったのですが、ちょうどその日に東京にやって来ていた妹と会おうという話になり予定変更。去年来た時に東洋館にナイツが出てるからと誘ったものの結局行けず。それを覚えていて、寄席に行くのも楽しそうだと下調べをしたらしい。東京に来ると予定が多い妹は夜は別口があり、ねづっちや伯山さんや昇太師匠はわかるからという妹の案に乗って浅草演芸ホールの昼席へいくことに。

 

改めて番組を確認したら、真打披露興行の寄席じゃないですか。口上もあってテレビでも知られた顔がいて初体験には絶好の興行。普段定席はお目当ての兼好師匠が出る所を選んで行くことが多いので、浅草演芸ホール落語芸術協会の披露興行は初めて。

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お昼過ぎに待合せて客席へ入ると、鯉朝師匠が座蒲団の上で飛んで回ってゼエゼエして客席を笑わせている。「反対俥」だ。一席終わるまで後ろで立ち見するも、二人並んで座れる席が見つからないし、何やらカメラも入ってる。どうしようかなと思っているとなぜか休憩に入った。どうやら学生の団体さんが出るタイミングだったらしい。無事見やすい席を確保。カメラは千葉テレビさんの収録らしい。真打披露の華やかな浅草演芸ホールが新鮮。ぼんやり定席見に行く気でいたのがいろいろ勝手が違う。

ねずっちさんが登場して安定の盛り上がり。妹も楽しそう。後ろ幕は瀧川鯉丸師匠のもの。伸治師匠のめくりをみて兄弟共通でお世話になった父の職人仲間のおじさんと同じ名前だと妹が言う。初めて見た時たしかにそんなこと思ったな。

伯山さんも冒頭から盛り上げて「三方一両損」。この話が落語にもあるのを知っていると妹が言うので驚く。落語や講談は普段から聞く人だけのものではないんだなと改めて。うめ吉さんはいつもクスッとする小唄と定番が今日も良い。踊りは華やか。「並木駒形」が浅草で聴けるのいいな。

鯉昇師匠を妹にイチオシすると、先日「プライム落語」の配信でも見た「千早ふる」で歓喜!また生で聴きたいなと思ってた!イチオシした老いマクラと古典なのに古典のままじゃない展開が鉄板。わかってるのに笑った笑った。

仲入りを挟んで真打昇進披露口上。春風亭鯉づむ師匠の後ろ幕に変り、どんと「るろうに剣心」が!和月伸宏先生のお名前も。行った日の写真を伯山さんが出されていた。

鯉朝師匠の司会は緊張の甘噛み和み系。新真打と前座時代を一緒にすごした伯山さん、話が長くなりすぎて会長に「もういいよ!」と静止される立川幸之進師匠の師匠にあたる立川談幸師匠、瀧川鯉丸・春風亭鯉づむ両師匠の師匠にあたる瀧川鯉昇師匠、自分の弟子の口上でなくてもこうなるのか!と終始笑顔でぐにゃぐにゃで、鯉朝師匠いわく「今日はまとめてきたと言っていた」のに長々まとまらない話で終わって驚いた桂伸治師匠、そして番が来るまで耐えたり苦笑したり突っ込んだりされて待たれた昇太会長。昇太師匠は新真打に向けて真打の数の多さから船出の厳しさも伝えつつ、客席に縁繋ぎの堂々としたご挨拶と三本締め。

談幸師匠の口上で幸之進師匠は初の島根出身真打という話になり、なぜか静岡は落語家がたくさんいすぎだとイジる。そうか、口上に並ぶ鯉昇師匠、昇太師匠が静岡だからか。客席で並ぶ私たちも静岡出身なので変な感じ。だけど、鯉昇師匠のご出身浜松市、昇太師匠のご出身清水(今は静岡市)、そして私の出身静岡市は割と線引きがあった時代を知っているので一括りではないけどね、などと思うのだった。それにしても昇太師匠の「もういいよ!」のツッコミの間が絶妙だった。思わず拍手^^

鯉丸師匠の「かぼちゃや」は口上で鯉昇師匠から聞いた通り古典で行くぞという一席、ほぼ同級と知り驚いた鯉づむ師匠の「都々逸親子」と踊りも目出度く楽しく。昇太師匠はワッと湧かせてサッと引き新真打を立てる小噺を、ボンボンブラザーズ繁先生はあまり見ない四苦八苦あるもさすが決めてくれて、主任の立川幸之進師匠へ。

口上の後に後ろ幕も主任の幕に変り、どんな話が聴けるだろうと思ったら、「早く飲みたい」で始まる極め付けの飲み方をひたすら語るマクラ。落語に入る前から「ん?酔ってる?」と思うぐらいお酒が好きそうに見えた。口上で「(落語芸術協会への)移籍があり真打まで20年かかった」と聞き、好の助師匠はじめ円楽一門の方々も応援しているのはご苦労があったからかと思っていたけど、もしかして飲み仲間?と思っていたら「親子酒」の振りだった。それにしても連日打ち上げで半分お酒に浸っているのか、普段からの様相なのか、お酒ではない話が想像つかない主任の一席。真打披露のお祝いは長いお祭りだ。

口上を数人撮影していた人がいた。舞台からOKは聞いてないからあいまいではあったけど、基本は禁止のはず。口上はOKと仲入りにアナウンスしてたのかわからないがややモヤモヤ。その後も撮っていた人に昇太師匠が自分の出番できっちり注意して止めていた。スマホいじる人も後ろから見ると本当に目立つ。今時写真OKの時間を作る機会もあるので当たり前の気になっているんだろうが、撮りに来てるのではなくて聴きに来てるのはまだ当たり前で優先であって欲しい。昇太師匠も注意はしたけど調子がくるって笑点の時みたいに撮ってた客にツッコミを入れていた。

 

昼席途中から入ったのと、後を決めていなかったので夜席途中まで残ることに。何しろ早い出番に遊雀師匠もぴろきさんも出る。ひとりで体力あればその後も見たい師匠何人もいらっしゃるけれど、浅草の座席はお尻が限界を通知してくるのでひとりで来てても最後までは厳しい。

前座さんのちづ光さんが上がると妹が「あれ?」と言う。番組に載っていない前座さんがでるんだよと話す。遊子さんが「(主任が出るまで)帰らないでくださいね!」と言うので心が痛む。遊馬師匠も遊三師匠も桃太郎師匠も聴きたいんだぞ。気持ちは。

驚いたのは養老瀧之丞さん。和妻の和装で登場かと思いきやマジックのようだ。でも驚いたのはマジックというよりキャラクター。多分、失礼ながら別の色物さんと間違えていたんだと思う。その上で白シャツにサングラスで決め台詞の「ソワカです!」の姿に最初は戸惑う。そのうち「ソワカです!」の使い方が多彩過ぎて意味が最後までわからなくて二人で笑い通し。マジックも楽しかった。あとでトランスジェンダーマジシャンを公言されていると知って納得。おかげでばっちり覚えた。ソワカはひらがなみたい。

藍馬さんは真打昇進以来久しぶりに拝見。マクラで熱く語るスタイルに若干ぽかんとしてしまったら、そこはきっちり拾っていく強気に脱帽。落語家さんというより講談師みたいなお方だ。女性らしい色気あるお声の高座が久しぶりでいろいろと置いてかれてしまった。芸人さんはいろんな方がいる。

遊雀師匠はマクラもほぼ振らず「寿限無」に入る。途中で「これ久しぶりにやるから思い出しながらでさ、、三年ぶりぐらい。前はよくやったんだけど」とレア高座。しかも途中で長めに携帯を慣らす人がいて、寿限無の名前の途中に「携帯電話は切りましょう・・・」と死神方式で謎の名前が織り込まれて喝采

うまくいなしてくださった技量にはもちろん拍手なのだけれど、もう世の中どこでも撮ったり鳴らしたりしている世界だからダメだと思っていないんだろうか。
なにかを撮ろうとする人は視野が狭くなるし、電話が鳴っても平気な人は客席に座っていても落語も大して聞いていないんだろうなと悲しくなる。高齢になって耳が遠くなったら、落語だけ聞こえて携帯の音は聞こえないとかあるんだろうか。横で鳴ったらリアクションできる人間になりたい。でも自分もそのうちやるのかもしれない。毎度もやもやの中身はそんな感じ。

落語の途中に入る邪魔に対抗できないのは、聴きたい落語を遮りたくない気持ちが邪魔な音や光を上回るからだ。決して許しているわけではない。周りになにも言われないから撮って良いとか鳴らして置いて知らんぷりは恥ずかしいというよりなんとも情けない。人生では先輩みたいな人が多いのもなんともいえない。後ろでプシッと音がして、「それはお茶じゃなくて酒ではないのか」といろんな人に疑心暗鬼になったり。

指摘したところで得もないけれど、「注意されないからやっていいことだと思うなよ」を度々反芻させられて黙っていても消耗する。愚痴が長い。

 

ぴろきさん登場。「明るく、陽気に、いきましょう~♪」といつも通り始めたけれど、即座に何かの空気を感じて「テレビのネタ見せしてるときみたい」と堅い客席を評する。「でも次のネタ見せの予行練習になるね」と前向きに続ける。「あ~よかった」とお腹を叩くのと退ける時のフェイントを多めに去っていった。

途中の愚痴はさておき、ともあれよく笑った!さあ出よう、と浅草演芸ホールの前に出た。さてどこへ向かおうかと話していると、出番終わりのぴろきさんが出てきたのを妹が発見。二人して「おつかれさまです!」と声を掛けてしまう。これは商売やってるウチの子の悲しい性。

押しつけがましい客になってしまった、と思ったけれど「もう帰るの?」「昼席から残ってたんですよ」なんてやりとりしてくださり、すかさず演芸ホールの方を呼んで一緒に写真を撮ってくださった。そもそも子どもなしで妹と二人で遊びに出掛けること自体稀な機会なので、浅草の寄席に来てる上に芸人さんと記念撮影できるなんてラッキーそのもの。舞台と変わらず「明るく、陽気に、いきましょう!」と撮った写真はとてもいい思い出で、その後二人でお茶しながら、家族写真の話題にもなった。

 

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出かけた日は三社祭が始まる前日。たくさんの提灯や準備された神輿や山車も道すがら見かけた。その上行った寄席が真打昇進披露で、ぴろきさんにファンサまでしてもらって、他にもダメ元で応募したものに当選したりして、ちょっといいこと続きで後が怖い。

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東京で演芸を楽しむことにハマっている感覚が少し兄弟に伝わったらうれしいと思っていた。寄席で見た先生師匠方やフレンドリーなぴろきさんのおかげで、普段ママやって子の前の厳しい顔でなくて良く笑う妹を見れたのはすごくいい時間だった。