先日に続いて浅草へ行ってきました。
今回も用事を済ませてから行ったので時間が心配でしたが、前回時間切れで果たせなかったミッションは無事達成。間に合いそうなので大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」関連の場所をのぞいてみることに。
調べてみたら大河ドラマ館は2月からということでまだ開館していない。意外にも歩いて回ったことはない吉原があった地にオープンした台東区の観光拠点施設「江戸新吉原耕書堂」へ行ってみることに。
浅草寺の観音様をお詣りして裏っ手の吉原へ行くなんて良いコースじゃないですか、と気楽にスタート。20分かからないらしい。
あまりこだわり過ぎずに素直に裏手へ進むと、浅草寺病院の脇に九代目市川団十郎像を見つけました。暫く、暫く~のポーズかな?
見栄を切ってる目線の先がのどかで良いお天気さんです。本当にわずかな違いで喧噪はどこえやら。
その先は浅草柳通り。浅草5656会館、浅草見番と落語で馴染みが出来た場所を見ながら北へ進みます。
しばらく進んで左折。千束通り、花園通りを渡って角町通り(すみちょうどおり)という所へ入ると「よし原角町」という街灯が道の両脇に立ってます。
あ。
ここで気づく。吉原だったエリアに入ったのがわかるお店の看板が立ち並ぶ。ここまでは面白がっていたけれど、数件おきに店の前に呼び込みの男性が立ってる。
気まずい。
こちらの問題ですけど。
日が陰り始めて、ネオンではないけれど看板の明かりが目立つ時間に入る頃。学生時代から一人歩き人間なんで表向き怪しい動きはしませんが、久しぶりに20代の頃に大人の世界にうっかり踏み入れてしまったヒヤッと感がする。うふふ。オバサンなのに。
なんとなく写真の撮り方も隠し撮りみたいな。構えられない(笑)
ここでオバサンの力量を発揮して落語「磯の鮑」で与太さんが女郎買いの師匠にさせられてしまった梅村の旦那が教えた牛太郎を思い出す。
そうだ、呼び込みの皆さんは現代の牛太郎。いきなり指さして「ぎゅう!牛太郎!」と呼ぶ与太さんが脳内再生される。よく考えたらこの寒い時期に店先に立って客を待つなんて大変な仕事だ。
もう一度「よし原角町」の街灯を見つけた。と思ったら、この左の建物が「江戸新吉原耕書堂」でした。店頭の女性にパンフレットもらってなぜだか助かった感。
江戸新吉原耕書堂
〇場所 台東区千束4-24-12
〇期間 2025年1月18日(土)から2026年1月12日(月・祝)
〇営業時間 午前10時から午後5時まで
〇休館日 毎月第2月曜日(第2月曜日が祝日の場合は翌日)、年末年始等
閉店間際もたくさんの人で賑わっていました。店内にはべらぼうや浮世絵関連書籍、一筆箋や竹しおり、印伝小物や着物にも合わせられそうなアクセサリー、和綴じのメモ帳やお土産やおつまみに合うお菓子などが揃えられ、中には寄席文字の橘右之吉先生の江戸文字と役者イラストが入ったトレーナーも。今後も新商品が増えたり、日本橋の耕書堂のような再現棚も増えるらしい。
お土産物と並んで「吉原細見」の展示や吉原についてのパネル展示、花魁の高下駄なども展示されて観光拠点施設の耕書堂。暖簾が掛かって雰囲気出てました。
目的地にも行けたし、陽が伸びて閉店時間の17時を過ぎてもまだ明るい。ということで蔦重の耕書堂があった吉原大門前の方へ進むと、ほどなく「よし原大門」の街灯。ここに大門があったと言われても全く想像がつかないけれど、その先の道が曲がりくねっているのが名残というわけか。
どちらにしても帰りは浅草駅なので、見返り柳から日本堤だった土手通りを通って浅草へ戻ることに。ベタな観光。吉原から帰る人のルートになりそう。
角町の区画を見ると行きは吉原の脇から突き抜けてしまったんだなと思いながら歩いているとほどなく見返り柳。よく写真では見たことあったけど、思っていたよりわかりやすく柳も緑で目立っていた。土手通りの先にはスカイツリーも見える。
この先は土手通り沿いに行けば浅草へ行けそうだったけれど、真っ直ぐ浅草では無さそうなので、細くなった道を真っ直ぐ進む。途中合力稲荷神社の脇を通って更に進むと広い通りに出た。
暗くなってきたなあと思ったら、進路方向に大きな提灯とピンク色にライトアップされたエリアが見えた。提灯には「山谷堀 光回廊」と書かれている。写真を撮ろうと構えると正面にスカイツリー。
山谷堀。さんやぼり。その名の通り、荒川(現在の隅田川)の氾濫を防ぐために箕輪(三ノ輪)から今戸まで作られた水路だ。落語が好きには吉原に向かう道程に出てくるので耳にしたことがあるかもしれない。
吉原へ遊びに行く粋客が、神田・柳橋辺りから船宿から猪牙舟(ちょきぶね)に乗り大川(隅田川)を進む。首尾の松が見えたあたりで舟は山谷堀に入り、程なく舟は降りて日本堤の土手を歩いて吉原に向かう。その山谷堀が今では公園になっていて、舟を降りる辺りが★印をした場所。山谷堀公園の出入口の光回廊の提灯があった辺りでしょうか。
山谷堀公園を進むと猪牙舟の説明版などもあり、なるほどここがと思いながら進むと、お祭りみたいな提灯と白いテント、そして人力車。なぜ。
一度通り過ぎたものの、公園の反対側の出入り口近くのもう一つのテントにいた方に聞くと、「山谷堀 光回廊(イルミネーション)」というのは奥浅草伝統まつりのイベントなのだとか。しかも行った日が初日で人力車も毎日あるわけではないそう。
イベント初日のイルミネーションがちょうど点灯された時間の通りすがり。せっかくなので人力車に乗せてもらい記念写真を撮ってもらう。なかなか乗る機会もないのに、無料体験で映え写真まで取ってもらえるとは。悲しいかな照明を当てていただいた結果、白飛びした顔があごが見えずオバサン全開。うまいこと感じが似ている節分のお福さんスタンプで盛ってごまかす。
こちらの人力車は普段は雷門辺りで営業されているとのこと。場合によっては両国など他の観光地へも行くとか。すごい。
浅草寺から吉原の耕書堂を見てこちらに来たと話すと、浅草吉原情報を教えてくれる。浅草神社行ってみたい。浅草の浅間神社も行きたいんだった。
行きに1人で浅草寺から耕書堂へ向かったら、角町でヒヤッとしたという話をしたら、現代の牛太郎さん達は夕暮れだからというわけでなく朝からいるのだそうだ。でもべらぼう効果で観光で来る人も増えているし、怖がることはないと笑ってもらった。心配なら大きい通りを通ればよし。ごもっとも。散策としては実際歩いて知ると楽しいルートなので、次に行くときまで覚えていたい。とりあえず夕方行かなきゃいいだけ。
そんなおしゃべりついでに奥浅草のイラストマップと「吉原細見 お散歩版」なるものをいただく。帰ってから楽しもう。
山谷堀 光回廊
【日程】2025年1月25日(土)〜2月24(月・祝) 点灯時間16:00~21:00
【会場】山谷堀公園
【同時開催】いずれも15:00~19:00
人力車体験(写真撮影)1月25日(土)、2月1日(土)、2月8日(土)、2月15日(土)、2月22日(土)/ 狐面絵付け体験 2月8日(土)、2月9日(日)、2月15日(土)
思いがけず山谷堀公園で長居してしまった。公園を出て待乳山聖天さまをチラッと見てから隅田公園を隅田川沿いに下ることに。
温かい日もあるからか梅が咲いてました。
こうなると撮りがち。
このあたりは以前に木母寺から浅草まで歩いた辺りなので、以前歩いた川面に近いデッキが続く隅田川テラスではなく、すこし上から川を見下ろせる公園沿いにあるいて浅草まで。人が多すぎず快適。
浅草まで戻って来たので帰路につこうかと思ったのだけれど、浅草観光文化センターを覗くと、けっこう遅くまでやっているようなので覗いてみる。
用事があるわけではないので何があるのかまずは1階に。案内カウンターとエレベーター、階段、チラシラック。台東区の案内やグッズから、2階は日本中の観光情報がありそう。あ、浅草演芸ホールとか東洋館のチラシもある。今日歩いた辺りのパンフレットも。国宝雲助師匠の顔が入ったチラシは反射的に取る。浅草公会堂もあるし、伝統芸能の情報まとまってる。しかも上の階では英語落語を頻繁に上演しているらしい。時間があったら行きたい。
エレベーターホールは狭いのか列が出来ている。試しに上に行ってみることに。
最上階の8階は喫茶室つ展望テラス。展望テラスはベンチがたくさんあってかなりの人が休んでいた。なによりこの景色!
隅田川側も上から。スカイツリーもちょっと目線変わる。なにより観光でいい思い出写真撮れるので一緒にエレベーターで上がってきた人達も盛り上がってる。
そうだ、新しくこの施設ができる頃にこの展望テラスをテレビで見たな。そのうちと思って忘れていた。
人が多い割に圧迫感はないけれど、ベンチに座る程でもないので下の階に降りられる階段を見つけて扉を開けると展示スペース。模型があったり、地域の行事や伝統のこと、蔦重と活躍した浮世絵師たちのことなどもりだくさん。手ぬぐいの柄も確かに蔦重と一緒に仕事した人とか役者の家紋とか浮世絵で広まったものも多いかも。
更に屋内の階段で6階へ降りると暗い。映像を流しているらしい。スクリーンを見ると正楽師匠がなにか切ってる。黒門亭の映像らしい。
気になったまま椅子に座ると紙切りの後に影絵で浅草の一年を見せてくれる。浅草のお正月や三社祭、観音様のご縁日四万六千日、ほおずき市を切った紙で動きのある影絵で見せてくれる。その後は紙切りになったきっかけなどのロングインタビュー。浅草の雷門前でぼんやりこんな正楽師匠を見れるとは思わなかった。「台東伝統文庫」というDVDのものらしい。区内の図書館で借りられるのだとか。
エレベーターホールに貼り出しているチラシを見ると、正楽師匠を見ていた場所が多目的スペースで英語落語を開催している場所らしい。機会があったら見に来たい。
それにしても浅草寺も江戸新吉原耕書堂も17時には終わるので、その後に立寄って景色を楽しんだり座れたりするのはありがたい施設。寒くないし。
奥浅草でも浅草でも地図をたくさん手に入れた。
雷門前にて散策終了。浅草駅から人の波を掻き分けて俊足で仲見世の裏通りを逆走して、浅草寺まで移動して要件を済ませてから散策を開始したので実質浅草吉原をぐるっと一周したことに。ちょっと調子に乗ってしまった。
でもこれでまた、大河ドラマも落語もより実感が伴って楽しめそう。そして少し浅草の地の利が増した。人が多くない所も面白い。また歩こう。
使用地図:
キョリ測(アプリ版)、大江戸今昔めぐり(アプリ)