シネマ歌舞伎のブログを書く時にGoogleで検索したせいか、坂東玉三郎さんの動画がYouTubeのおすすめに上がってきました。数年前のインタビュー。シネマ歌舞伎でもお話しする姿に感銘を受けたので早速視聴。
歌舞伎役者、女形としてやってきたことや育ちについてのお話から玉三郎さんの「好き」と「こだわり」が伝わってきました。ご自身を見つめた言葉に共感。映画『国宝』とは違う価値観を役者人生に見ているようにも感じました。映画は映画。自分で見ている景色を率直にお話されていることに好感を覚えました。
後半に20代多忙な毎日の中で軽い心身症状態になり、思い返せば10代にもうつの状態が出ていたとさらりと話されている。25歳以前に経験した人は繰り返すそうだ、とも。
「2年半、1日も休まなかったんです。軽い心身症状態になりました。考えてみると、16歳の時にもうつの状態が出ているんです。そして24歳、38歳、41歳の時に出ました。徐々にうつの深さは浅くなってくるんですけど、長くなった。旅行するとか他の仕事をするとか、違う環境に行くことが重要だと分かってきました。それと休養ですね。肉体的な問題より、精神的に張り詰めた状態をずっとは続けられない」
ー引用:「40歳を過ぎたら、舞台に立たないと思っていた」――奇跡の女形、坂東玉三郎が歩む芸道一筋の70年(Yahoo!ニュース オリジナル RED Chair)
大病をしたり極限状態になった経験がある人の言葉に共感することは多く、私の場合は特にうつで精神的に追い込まれ気づけたことに重なります。
著名で関心が高い方が実はがんサバイバーだった、うつ経験があったということは珍しくないのですが、玉三郎さんに心身症、うつの経験が、しかも繰り返しあったことは知らずとても驚きました。
10代から繰り返しうつ症状が出たこと、年齢で深さや長さの違いがあること、「今だから笑って話せますけど」という変に力んでいないニュアンスで語られる姿。自分を冷静に見つめ直しながら積み重ねられてきた日々が現れているのだと芯の強さに納得しました。
「40歳を過ぎたら、舞台に立たないと思っていた」――奇跡の女形、坂東玉三郎が歩む芸道一筋の70年(Yahoo!ニュース オリジナル RED Chair)
玉三郎さんのインタビューは動画と記事では取材範囲が違うようで記事の方も読みごたえがありました。
うつ症状を繰り返すと、体調を崩す度に自分を責めがちで、渦中は焦りが募ります。調子を崩している時に良い事など考えにくいことはわかりきったことなのに、体や心を休めて立て直すことより先が見えなくて絶望することにエネルギーを使って悪循環が起こってしまいやすいのです。
玉三郎さんのおっしゃる通り、精神的に張りつめた状態を続けない休養の取り方は大切です。前に上手く行った方法があっても、年齢を重ねて生活状況が変わると同じ方法を試しても焦りが長引いたり、わずかなことで安定が崩れやすくなるのです。これは恐らく、うつや病だけでなく加齢や一時的な体調不良や気持ちの落ち込み、体力低下への対処でも同じでしょう。
後ろ向きな気持ちは病と判断された場合適切な薬を使うことで改善することもあるけれど、考え方のクセで起こることは繰り返します。「好き」や「こだわり」などの芸術的に良いことでも、忙しさや責任、重圧が加わると良い影響だけではなくなることもある。バランスが崩れることもある。自分を見つめる時間で無自覚な緊張や負担に気づくこと、言語化することがバランスの安定や早い対処につながってきた実感があります。特に繰り返した時のショックを軽くできた気がする。玉三郎さんの言葉からそんな自分の経験や対処できたことを思い出しました。
好きなことを追究する、逆に嫌なことを続けなければならないという環境に立つとこだわり過ぎたり、無理をし過ぎていることに蓋をして一度自覚したクセを自分に気づかせないように麻痺させたり隠したりまたバランスを崩してしまった。そんなことばかりでもありましたが。。
玉三郎さんと私の人生は当然違い、共感できるところと自分のケースとは違うというところがありますが、細かいことや感情を脇に置いて見られるようになるとそれだけで気づけることが増えます。
病の話ではないところで興味深かったのが「舞台の上での女性」についてのお話でした。玉三郎さんご自身は歌舞伎の女形を現実の女性とはまったく違う「作品」として考えているが、女性の先輩女優さん達が女を演じる時「自分が女であるということを1回全部細部にばらして再構築できる方達ばかりでした」と話されています。
このお話を聞いて私がうつの症状を見つめ直すときにしていることと似ているように思いました。「自分を1回全部細部にばらして再構築する」には自分を客観視する必要があり、自分と違う行動や発言をする人との違いを考えます。それが俳優業なら役作りとして行われているのかもしれません。私の場合は「細かいことや感情を脇に置いて見る」ことも「細部にばらして(見て)再構築する」にあたります。性格の好き嫌いと、能力や出している結果は別。先にくる感情が邪魔で見えないことは多いものです。
そういう意味では玉三郎さんは役作りや後進の育成で客観視が鍛えられている、好きで追求されることが明確、自分と役の線引きや自分と他人を比べたり同一視しない冷静さをスキルとしてお持ちなのかもしれません。
私の方は20代でうつの診断を受けた時親子関係の依存状態に気づくまでに苦労しました。家庭環境も振り返れば私にとっては山場がいくつもあった気がします。手放せたことも多くありますが今でも引きずっていると思うこともあります。度々思い返すことでもありますが、玉三郎さんのような方がお話してくださっていると何年か前の動画でも見るだけで元気づけてもらえます。
RED Chair関連で出てきたYahoo!のタグ #病とともに #今つらいあなたへ もヒントをくれそう。病とともに 過ごす人は当たり前にいるし、今つらいあなたがひとりじゃないこと、力をもらえる情報があることがわかるのはいいですね。私も上がったり下がったりする1人としてこの先も他人事ではありません、
自分にとって力になる人の言葉は何よりの薬。尊敬する人や推し、いま気になっている人がいるなら、難しく考えるよりその人の表現や作品、インタビューを読むのは抱え込んだ気持ちを緩める良い方法だなと思います。
動けない時は動こうと自然と思える時まで、無理をしたり衝動的に行動しないでいてみることが大切ですけどね。
生きるのがつらいあなたへ ― 「死にたい」「消えたい」と思ったら - Yahoo!ニュース
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